DPC 31
診断群分類とは?(1)
診断群分類とは?
13ページ以降で説明が加えられている。
- 1入院中に複数の傷病に対して治療が行われた場合でも「医療資源を最も投入した傷病」は一つに限る。
- それが不明な時点では、「入院の契機となった傷病」に基づき診断群分類を決定する。
こうした診断群は、論理的に定まるものではない。
14ページの説明にあるように、平成14年7月~10月の退院患者の調査に基づくもの。
当初の診断群分類数は、1860分類だった。
いくつかの改定を経て、現在は1572分類。
IDCの大分類の最初のカテゴリー「感染症及び寄生虫症」でも、900以上のカテゴリーがある(例えば、最初の項目は、コレラ菌によるコレラ)。
こうした考え方は、入り口は広くとり、出口をいくつかにとりまとめてしまおうという発想に基づく。
一方で、IT化の要請に応えながら、まるめというバスケットをどう造っていくかというロジックだ。
だから、15ページにあるように、入り口は、「医療資源を最も投入した傷病名」を ICD10 コードとして決定する。
次に、この傷病名が分類されている診断群分類を探すという段取りになる。
これは、いわゆる演繹的手法ではなく、帰納的な方法論だ。
そのため、1572分類に該当しないものは、「従来どおりの出来高払い」ということになる。
帰納的(個々の具体的事実から一般的な法則を導き出す)である以上、16ページにあるように、例外事例は分類の対
象としない。
- 入院後24時間以内に死亡した患者、生後7日以内の新生児の死亡
- 治験の対象患者
- 臓器移植患者の一部
- 先進医療の対象患者
- 特定入院料等の算定対象患者
- 平成20年度改定で新たに保険適用となった技術を受けた者
例外事例の原則は、おわかりと思うが次の2つ。
1.一般化し難いもの
- 症例数が少ない、あるいは、症例数はあっても、帰納的な整理になじまないものが該当する。
- 典型的には、臓器移植がこれにあたる。心臓移植といった脳死前提の医療行為はわが国ではまだ数えるほどしか実行されていない。
- 先進的医療は、保険数理をそのまま該当させるべきでないカテゴリーなので当然例外事例。
2.そもそもマルメの世界にはいっているもの
- 特定入院料算定対象患者がこれにあたる。
- 緩和ケア病棟入院料などが例としてわかりやすいかと思われる。
- がんなどの疾病で、これ以上治療効果を見込めない場合、終末にいたる過程で患者の痛みをモルヒネによって鎮め(ペインコントロール、痛みを緩和する)、患者の生活面を重視するというものについては、そもそも診断群といった概念が必要ではない。
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