医薬品流通事情-日本とタイ 36
タイの医薬品、医療機器の調達関係に移る。
私的医療保険以外では、公的医療機関がタイの医療の担い手なので、物品の調達に関しては、政府よる場合の調達関連法令が中心的な課題。
調達関連では、次の3つの法令がある。
1.首相府物品調達規則 B.E. 2535(西暦1992年)
- (The prime minister’s office procurement regulations)
- (注) それにしても、B.E.がBuddhist Eraであることや西暦に543年足すといったことには違和感がある。
2.首相府電子的物品調達規則 B.E.2549(西暦2006年)
3.Good health at low cost policy (健康実現のための効率的な調達政策)
首相府物品調達規則がこの国の政府調達という場合の一般原則。
規則そのものは相当煩瑣なものなので、当方の理解する限りでの要点だけを記す。
調達額が100,000バーツ未満の場合
:日本風にいえば、「随意契約」
調達額が100,001バーツから2,000,000バーツの場合
・登録業者による「入札」
- 最低額の入札者が対象。
- ただし、予定額より高い場合、協議。この協議によっても、予定額より10%以上高い場合、再度、入札。
- 上記の手順を経て、なお10%以上高い金額でしか調達できない場合、購買量を減らすか、予算額の増、あるいは調達そのものの断念というプロセス。
調達額が2,000,000を超える場合
・公開入札。
- ただし、次のような手順等が加わる。
- ・登録業者以外にも広く、入札を告知する。
- ・応札者が1人の場合、基本的には、不成立。
- ・応札資格の変更はできない。
調達額が100,000バーツを超える場合でも、次のような例外がある。
・競売によるもの
・緊急なもの
・機密に属するもの
・契約調達の必要性が高いもの
・海外からの直接買い付け
・特殊な技術を必要とするもの
・地方特産品
これを柔軟に解釈すると、なんでも随意契約にできるような気がする。
日本でも、政府系の法人の杜撰な契約締結状況がよく問題になる。
元役人として過去のことを思い起こせば、如何に随契にするかが、よく担当者の間で話題になっていたという記憶がある。
こうした基準のほかに、政府組織の各階層で、調達金額、調達方法などについて必要なチェックは行われている。