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厚生労働省再編 03

で、今回の再編。
発端は、「厚労相の所管範囲は極めて広大で、一人の閣僚で統治するのには無理が多すぎる」ということらしい。
案というよりお説としては、大まかに3つあるらしい。
1.「雇用・年金省」と「医療。介護省(庁)」
2.「社会保障省」と「国民生活省」
3.元の「厚生省」と「労働省」に戻す。

いずれの案も、統治困難ということから出たものらしく、分けるということだけしかわからない。

厚生省と労働省が統合されたメリットはいろいろある。
例えば、公的保険の徴収機能が一本化されるであろうこと。
旧厚生省と旧労働省はそれぞれ巨大な徴収機能を持っていた。
年金、医療保険、労働保険がそれだ。

現在の姿が一本化に向かっているのかどうか詳らかではないが、旧厚生省の徴収の方法論は基本的には IT 以前のテクノロジーを前提としていた。
例えば、標準報酬という仕組み。
標準報酬月額表というものがある。
現行の表は、47ランクで、最低の第1区分は、月額63,000円未満で、この区分に属する場合、標準報酬は58,000円とみなされる。
50,000円の人も60,000円もらっている人も58,000円ということにされ、この金額に保険料率が掛け
られる。保険料率は8.2%を掛け、月額4,756円の保険料ということになる。
最高ランクの第47区分は、月額1,175,000円以上で、200万円もらっている人でも一律121万円とみなされ、99,220円の保険料を徴収される。

こうしたやり方は、賃金月額そのものに保険料を掛けるのは、手作業を前提とすると膨大な計算事務が必要になるため、事務処理の簡素化のために導入された。
現在の目でみると、IT 処理の世界ではこうしたことは却って計算事務を複雑化することになってしまい、不合理ともいえる。

制度の歴史が短い労働保険では、基本的には賃金実額にそのまま保険料を掛けている。

保険料は必ずしも事務処理だけでは議論しきれないところがある。
ただ、2つの大きく異なるシステムを運営してきていることは事実だ。

こうした徴収事務という観点からみると、国税、年金、医療保険、労働保険などの徴収事務を一元化するといったことが合理的な方向といえる。
少なくとも、事務の性質が同様なものは一本化するといったことが再編を議論するなら必要ではなかろうか。

別の観点。
製薬企業は現在の厚労省が一元的に所管している。
厚労省は、主として衛生規制の観点から製薬企業を所管しているが、これから、この国の企業の育成といったことを考えると、別の議論をしてみたくなる。

医薬品の承認といったことは、厚労省の基本的な役割に属すると思う。
新薬の開発、世界展開といった企業の育成に関しては、経済産業省が所管してみてもよいのではないかと思う。

片手で「規制」、もう一つの手で「育成」というのはなかなか難しいのではないか。
特に、規制をちらつかせながら、天下りといった構造は世の理解を得がたいと思われる。だからといって、育成したから天下りしてよいとは思わないが。

食品はどうなっているのか。
食品の生産という観点では農林水産省。
これが加工されるといった局面、特に、食品添加物、消毒といったことになると厚労省というのが現在の割り振り。
こうしたことが合理的なのかどうか議論をしてみるのも必要ではなかろうか。

お役人は基本的には所管範囲を変えることを嫌悪する。
ここにメスを入れるのが政治の役割だと思うが、報道の限りではパイの切り方の問題だけが議論されているような気がする。

(了)

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