医薬分業 06
風邪なら薬局に行っていた
(アンプル風邪薬事件)
街の薬局。
現在は、薬局というとチェーン薬局を思い浮かべる。
半世紀前は、いわゆる街の薬局しかなく、現在の言葉で敢えて言えば、
「独立薬局」。
「独立」というのは、アメリカのチェーン薬局以外のindependent pharmacyを筆者が勝手に使ったということでご理解願いたい。
この時代は、風邪くらいなら、独立薬局に行っていた。
国民皆保険に加えて、独立薬局が医薬品への関与度を決定的に失ったのは、1965年のアンプル風邪薬事件。
風邪薬は、今でもOTC薬の王様だが、この時代、比較的薬効の高いアンプル薬が売られていた。
1959年~1965年の間、アンプル風邪薬で、38人が死亡するという事件があった。
当時の厚生省はこれを重要視し、副作用の強いOTC薬を制限した。
結果、アメリカの友人に、「日本のOTCは、高価で、効かない」などとからかわれる。
これで、消費者は、決定的に薬局、OTC離れをおこした。
高価で効かないものを薬局で買うわけがない。
開業医、病院に行けば、「安く」、「効く」薬が手に入る。
この後、しばらく、薬局は医療の中での存在感を低下させていく。