医薬分業 08
経済的誘導
現時点で、医薬分業とは、病院の外の薬局で薬の投与を受けることだ。
理屈を言えば、病院の中には薬剤師がおり、彼らがチャント機能していれば、医薬分業が行われていることになる。
まず、役所が行ったことは、病院,診療所の外の薬局で薬をもらうという形を作ろうということだった。
独立薬局にその本来の機能を果たしてもらいたいということになる。
医用医薬品に関しては、蚊帳の外であった薬局が医療の世界のプレーヤーとして帰ってくることが「分業推進」の中味。
病院の外に出すということが主眼で、その方法は「経済的誘導」。
1974年、処方箋料が大幅に引き上げられた。
それまでの10点(1点10円、10点は100円)が50点になった。
ここでいう処方箋料とは、「院外」処方箋料のこと。
病院は、利益率を基準として、外に出すかどうかを決める。
物差しは、院外処方箋料と薬価差。
薬価差益が高いと外に出すメリットがなく、その逆だと、外に出した方がよいという
判断となる。
院内の場合、薬価差益は手中にできるが、院内の諸経費(人件費)はかかる。
50点という処方料は、このバランスを微妙に計ったものだといえる。
ここを出発点にして、薬価差益の減少傾向、処方箋料の引き上げなどで、薬の病院離れが加速していく。
これが「医薬分業」。
病院を中心とする医療機関の外へどれくらい処方箋が出たかが、この国の医薬分業であり、現在、この数字は約60%。