医薬品流通事情-日本とタイ 03
何回かバンコクに行った。
日本大使館の方々をはじめ様々なタイ事情通の方とお会いした。
事情通氏たちからのお話をいくつか挙げてみる。
道案内。
バンコクで道を尋ねる。
かなりの相手方がそれなりの案内をする。
そのとおり歩くと全く目的地と異なるところに到着してしまうことがある。
なぜか。
タイの人は、何かを尋ねられれば、何かを応えなければならない、と思ってしまうらしい。
仮にあまりチャント分かっていなくても道「案内」をしてしまう。
タイの人にとって、「自分はこう思った。」という主観がすべてであり、それが客観的に正しいか否かは2次的な問題。
相手が正しく到着することより、自らがチャント案内できるというプライドが優先する。
これは道案内の話だが、ビジネスでもこうした議論はよくある。
投資案件。
タイで工場投資をしようとする。
単独では心配なのでタイのパートナーを探す。
兎に角、いくつかの相手先ができる。
そこで、mail の交換。
「御社との joint-venture の可能性につきご検討願いたい。」
返答:「御社の投資規模について承りたい。」
聞きようによっては、どれくらい呉れるかによって考えたいという誠にストレートな受け止め。まず、自らの当面の利得という発想。
ニュアンスをお伝えするのはなかなか難しい。
要は、常に自分の周りを世界が巡っていると考えがちだということを伝えたいのです。
したがって、タイの人々と話をしても、自ら「チームプレイは不得意な国民」という定義を伺ってしまう。筆者の役人時代、若年で県庁などの管理職で出向するという仕組みがあった。諸先輩の話を伺っていると、某県に関しては、「うちの県は人当たりが悪いですから」と赴任のその日に宣言されたとのこと。
タイの場合は、selfish であることをあっけらかんと宣言されてしまう。企業の方々の話では、面接の際、堂々とチームプレイには向いていないと宣言されることもあるとのこと。だから、ムエタイといった個人スポーツが盛んなのか。もっとも、このスポーツは、貧しい家庭の男の子が自らの体という唯一の資本を活用するというものであるらしい。
皆さんがこぞっていうのは、「友達としていっしょに遊ぶには最高」だが、仕事ではできればご一緒したくない。日本でいえば、「宵越しの金は持たねー」という江戸の下町の文化がこれに似ているのではないかという指摘がある。研究員を含め何人かのタイの方々とお付き合いしたが、全員がそうではないものの、お金が入れば「即遊び」といった傾向があった。
だから、観光でこの国に訪れるのは確かに快適だ。
ビジネス、調査といったことになると大変。