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医薬品流通事情-日本とタイ 04

日本にも似たところがあるが、ホンネとタテマエがかなり乖離していることのほか、数字に弱く、統計が整備されていない。

こうしたことはタイは日本と比べて劣っているという趣旨で言っていることではない。日本も似たようなものだというのが最近の印象だ。ちなみに、第二次大戦後日本にやってきたアメリカの占領軍が上記のタテマエ、統計の弱さといったことを繰り返し指摘している。

例えば、ドッジラインという金融引締め策。
敗戦直後の日本経済は、戦時経済という経済ともいえぬドンブリ勘定のやり方を続け、アメリカの補助と政府の無計画な補助金の2本柱の上に成り立っていた。
これではあんまりだというので、デトロイト銀行のドッジ氏が緊縮経済を勧告し、実施した。
財政、経済は安定という面では成功だったが、「ドッジ不況」という言葉が表しているように、大不況となった(朝鮮戦争による「特需」がなければどうなっていたのだろうか、と学生時代思ったものです)。

過去日本であった大本営発表と現実の隔たりといったことを考えると、「タイはアジアだな」などという感慨は天に唾するものといえる。

余談ついでに。
1948年巨大な自動車王国の首都デトロイトの銀行家が日本を指導しに来た。
今やそのデトロイトが GM, クライスラー危機といったことになっている。
時代は移るものだといっても、大袈裟にいえば、1948年、神のごとく見えたデトロイトが半世紀で様変わりしたということになる。

統計の話に帰ると、政府の統計は地元ではそんなに信用されていない。
特に医薬品の世界では、imsという調査会社の売り上げ情報が唯一の正確なものといわれている。数々の訪問調査を行ったが、数字を使って正確な話をしようとする方々は必ずこの統計を用いた。

タイの政府統計によると、識字率は95%とある。
Wikipediaでもこの数字が記載されている。
Thailand Health Profileでも同様だ。

一方で、Thailand Health Profileでは、小学校就学率が86%とある。
タイの政府統計局のセンサスの数字をみると、6歳以上の国民5523万人のうち496万人がno Educationとある。
この数字をそのまま識字率とするわけではないだろうが、8.5%の国民が教育を受けていないという。

数字ばかりを並べても煩瑣になるのでこのあたりでやめるが、こうした基本的なデータでも、整合性という観点からみると様々な数字がありすぎる。

当教室のタイからの研究員もこれには閉口している。
現在の研究員はヌアンという女性だが、政府統計、コマーシャルベースのデータなどと日々格闘している。上述の識字率の議論をしても「どうしてでしょうね」などと慨嘆する。

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