医薬品流通事情-日本とタイ 07
タイの経済、特にビジネスデータは、元田時男さんのタイ国経済・ビジネスデータベースが詳しく網羅的だ。
当方としては勝手に残念がっているが、このデータベースに医療関係のものがあればよいなと思う。
この方のweb-siteでは、タイのデータの透明性はかなり高まっているとのことだが、保健医療分野については、必ずしもそうはいえない。
Supposed to be とactuallyの乖離が激しいものもある。
(この件についてはこれまでの調査インタビューをご紹介するときあらためて話題にしてみたい)。
GDP。
IMFデータで比較してみる。
2008年、2733億ドルで、34位。
一人当たりGDPは、4115ドルで92位。
一国の経済規模としては小さい方ではない。
一人当たりの国民所得は、東南アジアの中の工業国を自負している割には大きくない。
とういう比較をすれば適切なのか難しい問題だが、2008年の国民一人当たりのGDPでは、上記のとおり、タイは4115ドルで92位。同年、中国は3315ドルで、104位。
中国の経済躍進の前、ほんの10年前は、タイと中国ではオトナと子供の違いがあったことを思うと、中国の躍進が目覚しいのか、タイが停滞しているとみるのか微妙なものがある。
タイの経済統計を見る限りでは、1997年のアジア通貨危機を除いてはほぼ順調にその規模を増している。
1985年から1995年の10年間は、いわゆる高度経済成長時代であり、タイの経済は平均年率9%の伸びを記録した。
この間は、1ドル=25バーツの固定相場。
1998年1月、1ドル=56バーツという最悪値を記録した際には、ドル換算では、経済規模が半分という事態であった。
現時点(2008年5月)では、1ドル=34バーツ。
1999年以降、タイ経済は再び成長を始めたが(4~6%)、ドル換算ではようやく元のサイズに戻ったというにすぎないという見方も成立する。
タイの政府統計では、こうした激変ともいえる事態を処理するため(?)、1997年以降国内でのGDP統計をバーツ建てで表記している。
なので、ドル建てとバーツ建てが同じ統計にあるというまことに珍妙なものが政府統計として示されている(国内向けのやむをえないものでしょうが)。
ともあれ、ドル換算をしない限り、バーツ建てでは「好景気」が続いているともいえ、バーツ経済の世界では、中流階層が台頭してきているといえる。
産業構造はどうか。
*先述した元田さんの資料からの抜粋です。
1951年の段階では、
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- 農林水産業 44.7%。
- 製造業 13.8%
- サービス業 13.0%
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これが2000年になると、
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- 農林水産業 10.3%
- 製造業 32.0%
- サービス業 15.1%
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こうした比率を日本と比較する。
内閣府の国民所得統計によると、
1970年の日本は、
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- 農林水産業 6.0%
- 製造業 35.2%
- サービス業 12.0%
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ということで、タイの現在は日本の1960年代と同様の構成比率だといえる。
ちなみに、日本の1998年は、次のようになる。
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- 農林水産業 1.7%
- 製造業 23.1%
- サービス業 21.3%
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タイをはじめとするASEAN諸国はそれなりのスピードで産業構造を「近代化」しているといえる。
ここは厳密に議論する場でもないので多くは論じないが、これら諸国の中では相当の差異が生じている。
概括的にいえば、タイはこうした諸国の中では中の上くらいの位置にいるということになっている。