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医薬品流通事情-日本とタイ 12

バンコクの話に戻る。
バンコクでは、埼玉のような○○線医療圏といった形も成立しない。
鉄道ついでに脱線してしまうと、タイの鉄道もよくわからないものの一つだ。
よくわからないといっても、一種の鉄道偏執狂ともいえる日本人の一人としての目からということだが。

鉄道などについて識見があるわけではないので、印象論になることをお許しいただきたい。
まず、タイにも国有鉄道がある。
バンコクが当然のことながら発着の起点。
しかし、東京駅のような中心駅からというようなことはない。
北部方面、南部方面、その他といった形でいくつかの出発点(始発駅)がある。
その各駅は結ばれておらず、各駅の間をタクシーに乗っていくといった形。
なぜ、レールで相互に結ばないのか、関係の方々に伺うと、smileが返ってくる。

だから、決して「東武東上線医療圏」といったものは成立しない。

バンコク中心部にはBTSという羽田のモノレールのようなものとMRTという地下鉄が走っている。
バンコクの殺人的な交通事情を緩和するために、整備されたものだ。
首都圏や関西圏のように、郊外に延びる路線と結ばれているといったことを想定すると、それは間違い。
バンコク中止部の交通緩和のために存在するだけ。
当然、国有鉄道とのリンケージも全くない。

旅行ガイド的にいうと、料金だけとれば、BTS,MRTよりもタクシーの方が遥かに安い。
タクシーの初乗りは35バーツ。
100バーツも払えば相当な郊外に到達する。
ただし時間は全く読めない。
これに比べると、BTSといった交通機関は1駅乗るだけで15バーツ。
で、例えば3人である程度の距離を利用すると、70~80バーツ程度は必ずかかってしまう。
タクシーに3人乗れば、50バーツ程度で大概のところにいける。
従って、BTSといった公共交通機関はある程度所得のある人がのるもの。

交通機関の値段別ランク付けをすると、
1.ホテルリムジン(法外に高い)
2.BTS(モノレール),MRT(地下鉄)
3.タクシー
4.ツクツク
5.バイクタクシー
6.バス
7.国有鉄道

余計な解説をします。

タクシー。
概してバンコク以外の出身で、小学校から英語教育をしているといわれているが、地方出身者の英語理解力はあてにしない方がよい。

ツクツク。
バイクの後ろに2~3人乗れる座席をつけた乗り物。
日本ではこうした改造はおそらく許されないだろう。
メーターという概念はなく、値段はすべて交渉。
筆者も一度試したが、あとでよく考えたら、タクシーの方が安かった。
バイクタクシーもそうだが、外気にさらされ、北京と争うほどの清浄でない空気を大量に呼吸するはめになる。
東南アジアには改造車的な乗り物が多い。
フィリピンに行けば、ジープニーがある。
多くは、小型トラックの改造で、小型バスのような箱をつけ、乗り合いバス的な運用をする。
その名前からわかるように、オリジンは、アメリカ軍のジープ改造。

バイクタクシー。
50ccクラスのバイクの後部座席に乗る。
筆者なら、運転者にしがみつかなければ乗れないと思うが、バンコク市民は悠々と特にしがみつくでもなく乗車なさっている。
当然のことながら、事故も多いと聞く。
この運転者の殆どは凄まじい待機汚染の中を走るため、マスクをしている。
ま、バイクですから、交通渋滞の中、それこそ縫うように走り、公共交通機関?の中でBTS,MRTに次いで時間の読める乗り物といえる。
日本大使館の後輩に利用についてお伺いを立てたところ、いい年をしてという目をしながら、「利用するのはおよしなさい」と言下に否定された。

バス。
市内には沢山走っている。
どういう路線があるのか、全くわからない。
時間も不定期であるとのこと。
当教室の研究員もよく利用したというが、慣れたもの以外は全くわからないという。
バスに限らないが、タイの交通機関には「時刻表」がない。
日本では、JR山手線のように3分間隔の運転をしても、時刻表は存在する。
一時期評判の悪かった都バスにしても、時刻表があり、これに大きく外れないように運行されている。
タイのバスストップには、当然のことながら、時刻表はない。
しかも、いつ来るのか、わからない。
当教室の研究員もバスを利用するときには、1,2時間は悠然と待てるときしか利用しないとのこと。
タイでは、ヒューマンコストも安いが、時間コストも同様だ。
日本の社内アナウンスで「大変ご迷惑ですが、3分お待ちください」などというのを聞くと、相当遥かな思いをしてしまう。

ついでに、バスには窓がある。
窓が開いているバスは冷房されていない。
冷房されているバスは料金が高い。
筆者もいい年をしているので、大昔の話をすると、この国が貧しい時代、冷房車が導入されるのに相当の時間がかかった。今では冷房のない自動車自体ないが。
その時、確か、冷房とそれ以外で料金に差はなかったと思う。
ところ変われば、料金の考え方が異なる。

冷房といえば、タイに限らず東南アジアでは、冷房=贅沢であり、よく冷えていることが大切だ。
ホテルなどは時として鳥肌が立つほど寒い。
寒く感じることが贅沢を満喫することらしい。
それにしても、今(6月)時分では35度くらいのバンコクで、あの軽装でよく冷蔵庫のような部屋で我慢できるものだと感心する。

こうした交通機関が入り乱れて成り立っているバンコクは、混沌といってよい。
東武東上線医療圏といった形は成立しない。
そのかわり、一部の大病院に圏外から多数の患者が殺到するというスタイル。
タテマエでは、医療圏的発想があり、バンコク以外の患者がバンコク市内の公立病院を利用することはないはず。
ところが、日本人ならヘトヘトになってしまいそうな長距離バスに乗って大病院に患者が行く。
余計なことをいうと、越境入学の形であるらしい。
越境入学、要するに、住所を借りて、圏内の病院を利用するということのようです。

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