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医薬品流通事情-日本とタイ 40

大学病院の状況はどうか。

前述したように、タイの大学病院は全部で11(2007年)、そのうち5つはバンコク市内にある。病床数は2000以上、国立のものが多いが、公衆衛生省以外の役所が所管している。


1.公衆衛生省の医療費抑制策に関していえば、面従腹背。
この事情は、厚生労働省が所管している一般の病院と文部科学省が所管している大学病院の関係と同じ。
別の稿で詳述したので、ここでは簡単に触れるにとどめる。大学病院の放埓な医療を如何に整理するか。医療、教育、研究という三位一体のものを誰がどういうるルールで負担するかという問題。結論は、三位一体のものとして扱い、医療費の負担ルールを適用するというもの。この議論に関わってきたものとしては、費用は負担したくないが、能書きは自由に言わせてもらいたいという態度を有する方々が存在したということは今でも納得し難い。
ただ、研究は金よりも遥かに上位にあるもので、金の話はわかりたくないという態度は出来の悪い学者の通弊。その学者の一般論からいうと医学部はマシなところだと思う。


2.大学病院は、どこの国でも、先発医薬品の主たる戦場。
タイもその例外ではない。国内に先発医薬品メーカーを持たないこの国では、multi-nationalな製薬メーカーがこの市場を支配している。


3.私的な病院に比べると、財政力という点では劣るが、病床数2000以上という規模、医療従事者のレベルが高いといったことで、バイイングパワーは比較的強い。


4.バンコクエリアに有力な大学病院が集まっているが、これらの病院が共同購入をしているわけではない。共同購入をすれば、医師などの担当者のウマミがなくなるという事情による。
特に、タイでは、医薬品の売り込みに最も有力な手段は、大学病院に限らず、海外への「学会参加」。アリテイにいって、海外旅行させてあげれば、医薬品の使用が認められる。
タイの医薬品企業(先発、後発に関係なく)は、医師の海外旅行を必要悪として使っている。
いくつかの学会では、発表もしないタイからの学会参加者が国別にみると最多であったという笑えない事実があった。こうした医師は、学会参加は海外タダ旅行のための方便で、いくつかの学会に照会したところ、タイの医師での学会発表は皆無に近いとのこと。

で、ようやく、医薬品の調達の分野に入ります。

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