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医薬品流通事情-日本とタイ 44

この医薬品配送業者について、いくつか特徴を掲げてみる。

1.ほとんどのMulti医薬品企業は、医薬品配送業者を使う。商流の決定を製薬企業が自ら行うため、それ以外の業務はアウトソースするという考え方に基づくものだろうと思われる。
コアである価格決定を自ら行い、それ以外はいかに効率よくするかという思考方法。
この分野には二大distributorがある。
一つは、外資系のZUELLIG PHARMA。
もう一つは、国内資本のDKSH。
この2企業がほぼ50%ずつのシェア。
業務の内容は、在庫管理、注文表の受理、配送、返送品管理など。これらの基本的な業務のほか、re-packing, labeling, 委託生産、マーケッティングなどの業務の委託も受ける。
日本の卸は、業務の態様としては上記と殆ど同じだといってよい(見方によっては、タイの方がサービスの品揃えがマシ)。
にも関わらず、タイの配送業者のマージンは2~3%程度。日本の卸は往時13%、現在でも7%程度。
この限りでは、流通構造としてみれば、タイの方が遥かにマシだ。

限られた例だが、製薬企業が全ての業務を丸投げすることがある。
ZUELLIG PHARMEの関連会社でPHRMA LINKという会社がある。
この会社は、タイへ進出したばかり、あるいは、無用な要員をタイに置きたくないといったMulti製薬企業のために、商流、マーケッティングを引き受ける。
結果、この関連する2つの会社がほとんど全ての業務を引き受けるということとなる。

製薬企業からみると、各々の企業の合理的な判断により、配送のみ、在庫管理のみといった単品サービスから丸投げまでいろいろな種類のサービス、あるいはその組み合わせを選べるといえる。

日本の医薬品流通をみると、製薬企業にとっては、自ら全てやるか既存の医薬品卸業者を使うかという極めて限られた選択肢しかない。
医薬品の流通構造を考えるとき、日本の状態は業務の外部委託というとき、非効率な方式(医薬品卸業)しかない、という見方によれば不合理なものではないかと思う。

2.Multiの製薬企業と配送業者との関係は、先述したように、配送及び集金というつながり。
集金は、配送後3ヶ月というのが定例。
基本的な商流は、MRが担う。

3.タイの国内企業(ジェネリック企業しかない)は、上記のような配送業者を使うことは多くない。医薬品に特化した配送業者を使うほど事業規模が大きいわけでなく、マージンの支払能力が限られていることから、「配送業者」でなく、単なる「運送業者」を使う例が多い。
後述するが、タイの国内企業の流通方式は、全てインハウス処理をはじめ様々な態様がある。

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