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医薬品流通事情-日本とタイ 47

日本製薬工業会(製薬協)という団体がある。
この団体は、「研究開発志向型の製薬企業69社(2009年4月現在)が加盟する任意団体」。
この引用は、製薬協のweb-siteからのもの。
この短い文章は、surrealだ。
Surrealその1。
研究開発志向型という言葉。
考えてもごらんよ。
ファイザーという会社。
2006年の売り上げが483億ドル、日本円では4兆円以上の売り上げがある。
この会社の研究開発費を考えてみると、売り上げの1割をあてるだけで、4000億円。
それでも、有為な新薬はなかなか開発できない。
日本の「研究開発志向型」と称する会社、業界30位程度では、売り上げが1000億円に満たない。
この会社ががんばって研究開発するといって、売り上げの3割をこれにあてるとして、高々200億円程度だ。
4000億円と200億円とではどちらに開発力があるか。
自明の理。
日本の研究開発志向型の企業の研究開発費は、研究所の人件費、維持費に細々とあてられるだけではないのか。
よく、証券アナリストといわれる方々が、製薬企業に関し、研究開発として50億円も増額したから、積極投資であるとし、「買い」などということを言われる。
博打場の予想屋?
少なくとも、新薬開発のための研究投資のcritical mass程度の予備知識をもって予想するべきだろう。
Surrealその2。
69社。
日本という国は、ロクニ新薬を開発していない企業のために、保険料収入という国の富の一部を配分できるほど豊かな国なのか。
このうちのかなりの企業が抗菌剤の商品ラインアップを持っている。
そんなに寄って多寡って抗菌剤を開発する必要があるとは思えない。
抗菌剤の多用による耐性菌の出現の一定部分はこうした企業に責任があるという指摘がある。
もし、そうなら、国富を食い、よからぬ所業をしているということになる。
こうした企業の営業戦略は、MRによるご接待、面倒見といわれる。
であれば、こうした営業「経費」も無駄遣い。

いくつかの企業に絞り、成長戦略を練るということを真剣に考えるべきだと思う。
別の稿で、「衛生規制」に縛られ、産業政策ができないというのなら、産業政策分野は、経済産業省に譲り渡したらどうか。

後発医薬品の分野でも同じことがいえる。
むしろ、産業政策的に世界的な視野でジェネリック企業を育てるべきだ。
モノ作りが得意な日本というのなら、デジタルカメラなみに、世界のどこの国に行っても、日本のジェネリック医薬品が売られているという状況を想定してもおかしくない。
事実は逆で、日本でしか売れないジェネリックという状況。
エジソン電球の特許が切れれば、どこの会社でも電球を作れるようになり、日本の大手家電メーカーは世界でも指折りの照明品を生産している。
仮に、日本の家電メーカーが日本市場だけを目指していれば、今日の状況はない。

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