医薬品流通事情-日本とタイ 52
次に、タイの製薬企業について整理してみる。
いろんな統計があり、勿論こうした資料も十分活用したが、最も効率的な理解が得られたのは、15社に及ぶ企業のトップに対するインタビューだった。
企業をタイプ別に分類すると、次のとおり。
グループⅠ:古い世代に属する企業(Old generation manufacturers)
グループⅡ:製造部門を有する配送業者(卸業者)
グループⅢ:製造部門のないニッチ輸入商
グループⅣ:新薬企業
この他に、パブリックセクターのGPO(Government Pharmaceutical Organization, 国営製薬会社)がある。
グループごとにコメントしていく。
グループⅠ
この企業群は、1960年代の創業。
前述したように、この頃は、特許規制が行われていない。
特許を無視して、すき放題に医薬品を製造した。
抗生物質を中心とした「新薬」の黄金時代を背景に、売れ筋商品をどんどん生産し、成長していった。
未開の沃地を開墾するように、やすやすと市場を獲得していったといってよい。
ビジネスのスタイルは、全て自前というもの。
自ら生産する。
自らMRを雇用し、彼らMRが売り込み、契約した。
自ら配送した。
ピカピカの新薬をパテント無視で製造販売する。
ということから、どういう市場にターゲットを絞るかといった発想は一切ない。
病院、診療所、薬局すべてに売り込んでいった。
少数ながら、病院市場ではなく、診療所、薬局のみをマーケットとして絞り込んだ企業がある。
こうしたきぎょうは、
結果として、バンコク以外のかなりの市場を獲得し、成長することができた。