医薬品流通事情-日本とタイ 64
2.医薬品製造業について
(1)政府規制のあり方
- タイの医薬品市場は、混乱と混沌の中で始まり、外圧などの影響もあり、特許、GMPなどが整備されつつある。医薬品製造業者は、今、どちらかといえば、過剰規制の問題を心配し始めている。
- どちらかといえば、共産主義的な市場経済をあまりにも無視したやり方を憂える向きも多い。
- 地元資本からいえば、地場の産業保護はどうなるのかという声が上がり、Multiの企業からは、HIVの医薬品などで特許軽視が簡単に行われることについての不安(Compulsory Licensing implementation)がある。
- 放任から過剰規制という極端な舵取りを行っているといってよい。
(2)国際基準の採用と産業政策
- 医薬品産業について、国際基準が採用され、医薬品市場がそれなりに整備されてきている。
- 当然のこととはいえ、地元企業は生き残りのため、商売のやり方を大きく変えている。
- 放任から過剰規制というだけでは、長い目でみて、タイの健康、医療政策がタイの国力に見合った形で続けられるのかという点については、大いに疑問がある。
- タイには曲がりなりにも医薬品製造業が成立している。
- この業態を整除する必要はある。それと同時に、タイという国家社会としてどのような医薬品製造業者を育てていくのかということも大事だと考えられる。
- 世界の国々の中には、自国内に一切医薬品製造企業のない国もある。医薬品製造業はMultiの企業に委ねるという判断をすることも選択ではあるだろう。
- 先発企業のないタイでは、世界的ジェネリックにすべてを委ねるというのも理論的にはおかしな議論ではない。
- 理論的に成り立つからといって、現実的にそれが処理されるわけではない。