DPC 08
診療報酬体系見直しの必要性の高まり(1)
ここでは、診療報酬制度。
社会保障制度審議会の報告を抜粋する。
「むだな診療や薬剤の投与を排除して、最も効果的な診療が行われ、医学、医術の進歩を促すものでなければならない。然るに現行制度の下では医師の技術はほとんど評価されず、薬品や注射の使用量などの外形的な要素に依存して支払われている。現行の制度と結びつけて診療の個人的技術差を取り入れることは困難であるが、将来はそれが可能になるようすべきである。」
個人的技術差。
ふーん、世にいうヤブと名医の差を認めよという視点まで記述されている。
こうした議論の挙句、導入されたのが、モノと技術の分離。
代表的には、薬価差。
薬価差益が事実上医師の診療報酬として存在していることは、「公然の前提」だった。
できる限りこうした要素を排し、医師の技術料とは何かという方向に特化していこうとした。
何度もこのコラムで取り上げたことだが、薬価差とは、通常の取引では、仕入れ値と売値との差額、粗利に当るものだ。
薬剤師が医薬品の小売業に従事するということであれば、この差額は本来、薬剤師の守備範囲にあるもの。
薬価差益問題を対岸の火事とみるような薬剤師の世界観はどう考えてもおかしい。
この問題がわが身に降りかからないことが幸運であるかのような「保身」、「消極的」な行動パターンが薬剤師の職業領域を狭めている。
「失敗しない方法論とは何もしないことである」という格言をそのまま実行している数少ない職業集団だといえる。
次に、「点数表項目は大幅に増加、複雑化し」という事実の指摘がある。
役人時代、初期の診療報酬点数表を見た。現行の「肩がはずれるほど重い」ものと比較すると、あまりの薄さに驚いた
記憶がある。
この変化をどう表現するか。
例えば、現在の診療報酬点数表は、医科診療報酬区分数=1,700区分、歯科診療報酬区分数=300区分、調剤報酬=10区分で構成されている。
この各区分が事細かに記述されるという形だ。
初期のものは、現行のものと比較すると医科では半分以下、調剤報酬はほとんど区分がないといったものだ。