DPC 12
診療報酬体系見直しの必要性の高まり(2)
診療報酬体系の機能に戻る。
1.の医療機関収入源は、マンマで、コメントの必要はない。
2.の配分は、極めて重要だ。
医療費の配分はゼロサムゲーム。大きくいえば、内科と外科の配分といったことだが、現実の機能は、どこの医療機関が多くとれるかということの方が重い。
日本医師会は、全国の医師全体の組織だ。
その成り立ちをみると、「開業医」の利害を強く意識したものといえる。
医療施設調査が初めて行われた1954年、全国の病床数は約46万床。
2008年、病床数は約176万床と増加。
第二次大戦後すぐの状況では、約46万床の病床のうち、国立(旧陸海軍病院が中心)病院が12万7千床で4分の1のシェア。地方公共団体立が約10万3千床。
国公立病院が病床全体の半分を占める状況。
2008年では、医療法人立病院の病床数約83万床。国立病院の病床数は変化なし。
医療施設調査では公的医療機関とされている病院病床数が約40万床。
1954年から2008年までの病床数の増加は主として民間医療機関によるものだったことがわかる。
このことは逆にいえば、第二次大戦から相当期間医師は主として「開業医」であり、医師会は開業医の利害を代表することを長い間続けてきたということだ。
いわゆる民間病院(国公立ではない)は戦後成長を続け、病院医療の約6割を担うまで成長してきた。
戦後の病院医療の成長は、民間病院に支えられたものといってよい。
医療費の配分は、ゼロサムゲーム。
長い間、開業医中心の配分が続いた。
先日、某大学病院の権威とお話した。
特定の診療科目をいうと先生の名前までわかってしまう。
抽象的になることをお許し願いたい。
それでも、診療報酬決定の生々しいプロセスがわかると思う。
新医療技術だが、先進医療にあたらない治療法を採用するという場面を想定していただければ。
まずは、厚生労働省保険局医療課がシロウトにとっての交渉対象だ。
新医療技術開発医師は、ここに乗り込み、点数表採用を陳情する。
役人は、困った顔をしながら、聞く。
「わかりました。が・・・・・」。
意気に燃える医師は、「・・・・・・」がわからない。
わかる必要あるの?
あるのだ。
答えは、ゼロサムゲーム。
戦後長い間診療報酬設定ゲームに従事したきた医師会は、この間の機微に厳しい。
「トウシロの大学病院医師なぞにこの複雑さ、調整の苦しみがわかってたまるか」ということ。
医療課のお役人は、治療の新規性、有効性は「よくわかる」。
でも。
できれば、関係者と調整をしてほしい。特に、医師会と。
で、チャレンジその1は終了。
セカンドチャレンジ。
今度は、医師会に直接チャレンジする。
十分な事前調査をしないと、単なるチャレンジに終わる。
医師会側の恐怖は、病院でしか使えない医療技術は、結果として開業医の医療機会、医療費を削ることになるというもの。
この抵抗は、厳しい。
厚い壁の前にたたずむばかり。
サードチャレンジ。
今度は、開業医さんへの普及を熱心に進めると同時に、「大騒ぎ」もすることとする。
天下の○○新聞の一面を飾り、世論を作ることも進める。
○○新聞によれば、「厚生労働省の役人も○○新聞をみてませんとはいえないでしょうから」とのご託宣もある。
この話は現在進行中だ。
いくつかある心配のうち、今回の問題は、中央官庁の2~3年おきの定期異動。
何年も同じポジションに置くことは、権力の偏在を招き、弊害が多いこともあって、概ね2年単位での異動が行われる。
中央官庁は、忙しいこともあってなかなかチャントした引継ぎが行われない。
未だに現物書類を残すといったやり方が主流であるらしい。
IT化の時代にどうかと思うが、事実は事実。
先任者のファイルがどこにあるかわからないということになると当該担当者には一から説明ということに。
幸運をお祈りしております。