DPC 18
病院間のばらつきの例(1)
次の疑い。
同じように、「患者を選択しているのではないか」という軸のもの。
救急医療は、原則として、患者を選べない。
緊急事態であり、えり好みできないのがタテマエだ。
救急車による搬送実数は僅かながら増えている。
在院日数を減らすために、在院日数の予測し難い緊急入院患者は減ったのか。
緊急入院率 緊急入院(実数)
平成14年 27.6% 218.7
平成15年 27.5% 250.1
平成16年 27.3% 259.8
平成17年 25.8% 253.7
平成18年 25.2% 265.9
緊急入院率が下がるのはアタリマエ。
在院日数が減れば、病床の回転率が高まり、全体として入院患者の実数が増えるからだ。
ともかく、DPC 導入により、救急患者の受け入れが減ったことはない。やれやれ。
次は、再入院率。
アリテイにいって、ちゃんと治療せず退院させているのではないかという疑い。
中医協の資料では、「同一疾患での6週間以内の再入院」の項。
平成15年度 DPC 対象病院の再入院率は次のとおり。
平成14年 3.9%
平成15年 5.25%
平成16年 5.93%
平成17年 6.68%
平成18年 7.09%
徐々に増加している。
再入院率が高い理由についての病院側の説明は、次のとおり。
・定期的な抗がん剤治療のための再入院が多いため
・病理検査の結果を待つ間退院しているため
・入院して検査を行った後手術又はカテーテル治療に併せて改めて入院するため
・救急用病床の確保等のため週末に一時的に退院するため
・高齢者の他疾患による状態悪化が多いため
率直に言って、これらの理由は、「増加」の理由にはならない。
それどころか、これらの理由を掲げることは、「語るに落ちる」ところすらある。
例えば、DPC 以前は、病理検査の結果を待つ間も(漫然と)入院していたのではないかといった疑問。
DPC という定額制の区切りが入院期間ということになれば、当然のことながら、在院日数がメルクマールになる。定額制の範囲内に収めるためにやったことがいわゆるホテルコストの圧縮ということであれば、望ましい結果だろう。