DPC 24
包括評価制度について
7〜8ページのグラフに移ります。
ここでは、出来高払いを前提に、「肺がん→手術なし→副傷病なし」という場合で、実際の入院期間と請求点数をドットしたグラフが掲げてある。
いろいろな病状があるのだろうが、出来高払いの請求額というのはここまでバラツクということがまずわかる。
例えば、20日程度の入院で20万点(200万円)というのもあれば、50日程度の入院で5万点(50万円)というのもある。
基本的には、入院日数と請求金額とはほぼ比例した形で分布している。
この分布に対して、支払方式を当てはめている。
「1入院」あたりの包括評価をすると、例えば、1入院で5万点という包括点数(支払額は在院日数に関係なく一定:資料の中では青線で示されている)では、在院日数の長い症例は殆どが赤字になる。
この方式を強引に導入すると、徹底的に在院日数を短くするインセンティヴが働く。
「一日」当り包括評価をすると、在院日数にかかわりなく一日当り単価が高ければ赤字になる。この場合、一日当り単価を圧縮するインセンティヴが働く。
9ページのグラフは、一日当り包括評価について、工夫を加えたものだ。
基本的には一日当り包括評価だが、在院日数が増えるに従い一日当り単価を減らしていくというものを対比させている。
左のグラフでは、黒線で囲んでいるものは、在院日数が短くても一日単価が高ければ赤字という集合が、在院日数逓減方式では、同じ集合が黒字ということになる。
医療は点数表が支配する世界であることが上記の比較でも理解できるだろう。
どういう症例を黒字にするかは、まさに「匙加減」だ。
支払方式を変えることによって同じ症例が赤字にもなり、黒字にもなる。