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DPC 27

DPC制度の対象病院


資料10ページ。
DPC制度の対象病院
 ・DPC対象病院(DPCによる支払の対象)
 -平成15年     82病院
 -平成16年     62病院
 -平成18年    216病院
 -平成20年    358病院
         計 718病院
 ・DPC準備病院(DPCによる支払の対象外)
           710病院

平成15年の82病院は、すべて特定機能病院だ。
大学病院と2つの国立ナショナルセンター、承認について議論があった大阪府立成人病センターがその内容。

各大学の内情を後聞きで承ったところ、一律一斉のこうしたやり方はすくなくとも病院の実情にあったものとはいえない。
準備不足なのに「横並び」重視の観点から手を挙げてしまったところもあると聞く。

だから、実際的なクリニカルパスもないまま、あるいは、標準治療薬リストのないままDPCが適用されてしまったと思える。

DPCが一種のステータスのように語られるのが病院の世界。
だから、妙なことも起こる。

某大学病院の話。
とにかく、在院日数を削ろうということで、必死でやった。
結果、目出度く早期退院となった。
患者さんに「退院ですよ」といった。
患者さんは「えっ」と驚き、入院のときに聞いたスケジュールで諸般調整してしまったのだから、早く退院しろといわれても困るという。

これは、入院時、患者さんに対し、曲がりなりにもクリニカルパスに基づいて入退院計画を説明したことが原因だ。
在院日数削りに奔走するあまり、患者さんとの対話を欠き、自ら設定した標準治療手順を逸脱してしまうという結果。

こうしたことは、親方日の丸の病院では極端な形で発生する。
民間病院では、在院日数のほかに、病床利用率という係数も大切にされる。
あたりまえのことだが、患者さんは土曜日、日曜日には退院しない。そんなことをすれば入院手続きのできないこの2つの日は、空床になってしまうからだ。
親方日の丸病院では、時々、カレンダーを読めない症候群が存在する。

昔話だが、discharge-plan を導入した時期のこと。
Discharge とは退院のことです。
表向きは、退院後のアフターケアをすべきではないかというものだった。
ホンネは、当然だが、病院の都合によって入院期間が伸び縮みするのはおかしいではないかということ。
老人などの慢性期患者は、退院という概念すらない。
急性期の患者でも十分な回復期間を過ごすというタテマエから、退院は、随時病院が決定するという時代。
導入時は、地味に揉めた。
いつの時代でも能書きだけでは実社会は動かない。
能書きでは動かず、結果、紹介率、在院日数などの3種の神器(点数表)でしか現場は動かない。
それにしても、退院計画などということを麗々しく言わねばならない当時の関係者の馬鹿馬鹿しさも多少ご理解いただければと「存じます」。

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