ジェネリック医薬品の価格 03
なぜそうなるのか。
一言でいえば、多品種少量生産というモデルだから。
世界最大のテバ社は、一品目あたりの世界生産量の標準を300億円程度としているといわれる。
日本のジェネリックの場合、大手といわれるメーカーで平均すると一品目1億円程度となる(平均なので、一品目1000万円といったものまであることがおわかりいただけよう)。
この稿をお読みの方々には、釈迦に説法だろうが、しつこく「分析」する。
日本の医薬品産業では、基本的には、原末(原料)はほとんどが輸入品。
ジェネリック医薬品では、100%が輸入。
アタリマエのことだが、高々1億円しか作らないものを原末段階から作っていたのでは間尺に合わない。
(新薬メーカーでは、新薬であるがゆえに、自ら原末を製造せざるを得ず、結果として世界一安い原末を国外に輸出しているところすらある。)
医薬品は世界商品。
特許切れという場合、世界の原末メーカーはそれを見越して生産を行う。
この場合、トン単位での購入と100kg単位でのそれとではどちらが安いかという問題は、問題設定自体がアホ臭いものとなる。
昨年、日本のジェネリックメーカー30社がafter-patent商品の申請をした。
30社が少量の原末を高い値段で調達するという情けない構造。
国民医療費的にいえば、数社が大量に調達し、安価な製品を作ってもらった方がはるかにマシだ。
世界的なジェネリック企業では、生産ロットが大きく、いわゆるbuying-powerがあるだけでなく、研究開発能力そのものも高いことから、原末生産自体も行う。
日本テバ社では、先発後発を問わずかなりの数の日本の医薬品メーカーに原末を供給している。
多品種少量生産は、世界のジェネリックモデルからみると、考えられないビジネスモデルといえよう。