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ジェネリック医薬品の価格 05

いくつかの理由が考えられる。

まず、価格破壊自体に対する業界の禁忌。
価格のモデルは、あくまでも公定薬価との薬価差益。
これが前提の場合の薬価の論理は、一挙に差益を出し、1年で食ってしまっては具合が悪いということ。
上記の企業は、先発品100円の世界で通常70円からスタートし、60円、50円と低減させながら「適正」な利益を関係者で分配するという常識を覆そうとした。
いきなり20,30円という価格で勝負に打って出た。
通常のビジネスだと一人勝ちのはずだ。
安いだけでなく、公定価格70円のところ20円で仕入れれば、各当事者の分配には50円の原資があることを考えれば、絶大な利益ではないか。
そうならない。
ある意味では当然で、次回の薬価改定では差益を想定できない低廉な公定薬価となってしまい、利益の出ない商売を延々と続けなければならない。
(病院などの医療機関に安価で提供すれば、DPC環境ではその安価を提供し続けなければならない。そう考えれば、「手をだしてはならない」モデルとなる。病院には安価の旨みがあるが、流通過程には薄利しか落ちてこない。)

次に、よく似ているが業界人のメンタリティ。
リクツを理解しているわけではないが、「安く売るなんて」という発想。
外資系の社長が命令しても、「日本には日本のやり方がある」式の部下たちは造反する。
(造反などとその昔の学生運動の用語を使ってしまいました。実際の場面を想像すると、「面従腹背」が適切かもしれない。)
取引先に対し、「うちの社長は外資系だからといって極端な手を打ちますが、そこのところをうまくやりませんか。」といったことは平気で言うし、やる。
ある日本の製薬メーカーが外資系に買収された。当然のようにガイジンが責任者になる。日本人社員とすれば、「日本のこともよく知らないで」といった受け止め。ここで最終的に起こったことは、こうした日本人社員の殆どが解雇されたこと。これら社員の「専門家ヅラ、無能力、面従腹背には耐えられなかった」というのが当該ガイジン社長さんの述懐。)
精々マジメな部下でも、薬価調査をどう回避するかということに血道を上げる。
薬価調査の回避が前提的な論理であれば、真っ当な卸さんの腰は引ける。
アリテイに言って、「薬価調査を誤魔化す仕組みを何とか組み込んで売っていただけないか」などといわれてホイホイ安請け合いをするところはあまりない。
その結果、安売りなんてやめて、差益の長時間ご賞味をやりませんかということになってしまう。
メーカートップにしてみれば、笛吹けど踊らずの典型的な結末を迎えなければならない。

日本に進出してくる外資系のジェネリックメーカーは、鉄壁の薬価差益モデルに染め上げられた業界人と戦わなければならない。
問題を根深くしているのは、自覚症状なしに「薬はこう売る」式に育てられた先発メーカー上がり(お下がりかもしれませんが)を雇用しなければならないということ。
* MR市場については、次のような構造があるといわれている。

  • No.1 grade
    • 外資系先発企業で生き残れるMR
    • 外資系企業では、MRは基本的に終身雇用の対象ではない。
    • MRに対する教育投資はあまりなされない。
    • 業績次第でランク付けされ、下位のMRは解雇される。
  • No.2 grade
    • 国内大手企業のMR
    • 国内の製薬メーカーは、MRも終身雇用の対象となる。
    • 終身雇用が前提であるので、企業側は「育てよう」とする。
    • また、育てるに値する人材を雇用しようとする。
    • MR畑だけ(営業オンリー)の人材は原則として経営トップにしない。
    • ドロップアウトは少ない。
  • No.3 grade
    • 外資系ジェネリック企業のMR
    • ジェネリック企業の一般原則として、MR頼りの営業を想定していない。
    • 日本のマーケットでの営業戦略が確立していない現段階では、MRにどのような機能を求めるかは模索中
    • 現状では、優秀とみられるMRをヘッドハンティングしているといわれる。
    • 基本的には、No.1 gradeとNo2 gradeのMR集団からの選択という形。
  • No.4 grade
    • 国内の大手薬メーカー以外のMR
    • 大手メーカーに比べると就職偏差値は低い。
    • 雇用の基本的な考え方は、大手と同様。
    • こうしたメーカーは、同族支配の色彩が強く、企業組織の体は一応なしているが、オーナー様との距離感が重要な要素となる。
    • こうした理由から、大手に比べると、ドロップアウトは多い。
  • No.5 grade
    • 日本のジェネリックメーカーのMR
    • 一般論として、上記のメーカーに比べ質が低いといわれている。
    • 特に、近時、ビジネスモデルの議論のないまま、大量採用されているMRについては、就職斡旋業界では失笑もののリクルートが行われているようだ。
    • というのは、近時の希望者の前職をみると、いい方で、外資系先発メーカーのドロップアウト(十分な教育もなく、実績もない)。
    • そうでない方の代表は、金融再編で離職を余儀なくされ、仕方なくMRに応募した集団(「信金崩れ」といわれているらしい)。
    • 各方面から、何故こんなことをするのかという多くの疑問がなげかけられているが、当のメーカー側には自覚がないようだ。


MR営業についての議論を少し続ける。
MRによるビジネスモデルというのは、極めてシンプルだ。
通常、MRは、2~3種類の医薬品を担当する。
例えば、新薬開発後はそのアイテムに関し徹底的にプロモーション活動を行う。ターゲットは、その医薬品の対象となる疾病を担当する医師。
というわけで、3種類の医薬品を担当するということは、大病院であれば、診療科の異なる3人の医師との人間関係を構築するという形。
この作業を担当地区の医療機関で繰り返す。
当然のことだが、このモデルでは多種類の医薬品のセールスはできない。
で、日本のジェネリックメーカーが多数のMRを雇用し始めていることについては、上述のように、行政機関を含め、多方面から多くの大きな疑問が投げかえられている。
何故なら、大手のジェネリックメーカーでは、多品種少量生産を行っており、多品種の最大例の某社では、500品目の品揃えがあるといわれる。
500品目をMR方式で販売するというのは、誰が考えても理解できない。
さらに、500品目をフォミュラリービジネスとしてというのなら、現在のMRの質では到底できない相談(医療機関の幹部との議論なくしてセット販売はできない)。

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