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ジェネリック医薬品の価格 08

無用とも思えますが、若干の敷衍を試みます。

三津原氏の資料で、「その他費用」とあるのが、上記の販売管理費に該当する。
新薬メーカーとGEメーカーの販売管理費は、絶対値で26.4対8.4。
各々の全体額に占める割合は、26.4対16.8。

この国のジェネリック企業は絶対額でこそたいした費用はかけていないが、企業の費用分析としてみると、約17%もの販売管理費をかけている。

こうしてみると、既に、ジェネリックのビジネスモデルとしてみると、無用な費用をかけすぎているといえる。

上記の文章では、メーカー側にも問題があるが、ジェネリックの場合の理論的な購買責任者である薬剤師にも問題があるとしている。

「理論的」というのは、新薬の場合のMR営業は、医師をターゲットとするならば、ジェネリックの場合は、薬剤師になるはずだという意味。

この議論は、一見正しい。狭い分野の医薬品しか視野にはいることのない医師には単品としてのジェネリックを「ご説明」することはありえない。
純粋に議論すれば、新薬の置き換えの議論は、ジェネリックについての知見を有する薬剤師の独壇場になるはずだ。
何故、医薬品についての知見を有するはずの薬剤師にMRが訪問しなければならないのだろうか。

この「薬剤師とMR」という問題は、この国では多くの人々がちゃんとうけとめていないと思う。
薬剤師にもMRが来るはずだという思い(最近「思い」という言葉を多用する某国のトップがおられますな)は次のように分析できる。

  • 1.医薬品の販売とは、MR営業のことだ、という思い込みがある。
  • 2.医師のところにMRが訪問するが、薬剤師のところには、ツイデニしか来てくれない。
  • 3.MRから医薬品の解説を受けるということに全くの抵抗感がない。
  • 薬剤師が医薬品の専門家であるならば、MRに関係資料を持参させることがあるとしても、関係資料を読み解き、分析するのが薬剤師の仕事であるとは思っていない。
  • 4.MRによる営業は新薬販売モデルであっても、ジェネリックの販売モデルではないということに思いが至らない。
  • ジェネリックの薬効成分が先発品と同様であるならば、既に20年の知見が蓄積されているはず(その解説を今更受けるのですか?)。


これらのことが「要するに薬剤師の意味不明の甘え」の中味といえる。

というわけで、「理論的には」、ジェネリック医薬品については、医師にも薬剤師にもMR営業が成り立たないというのがこの稿の立場。

日本のジェネリックの場合、既に販売管理費が高額になっている。
かけなくてもよい販売管理費を増やすことに血道を上げ、ジェネリックといえども必要なR&Dの費用ですら削っているといったことになっているのではないか。

三津原氏の資料では、費用構造分析の続きとして、診療報酬解決仮説を展開されている。
この仮説は否定されることを前提としたものなので、ここでは詳述しない。
この仮説はジェネリックシフトを行うために、露骨な技術料をつけてみてはというものだが、結論として「かなり困難」とされている。

この三津原氏の提言の根幹は、資料でいうと、3.(仮)20点で充分か?というページの最後のラインにつきる。

「各プレーヤーの経営変革(コスト構造変革)が必須」

おっしゃるとおりだと思う。

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