ジェネリック医薬品の価格 09
三津原氏は調剤薬局の当事者として、プレーヤーとしての薬局は何を行うべきかを提言されている。
- 1.各業務内容の棚卸し(ABC : Activity Based Costing的発想)
- ABC自体については、別途自習していただきたいが、エッセンスだけをいえば、間接費的な業務のコストを把握、分析し、無駄をみつけること。
- 2.特にMRによる「情報提供活動」とは何かを冷静に考える必要がある。
- ABCにしたがい棚卸しをしてみると、「特に」とあるように、MRに対応する時間というのは一体意味のあるものなのかどうかが問題となる。
- まず、対応すれば時間そのものが失われる。次に、これによって得られたものが薬局業務にとって意味のある内容でなければ、失った時間は単純な損失。
- 3.その分析を元に価格に転嫁する提案力(売り手、買い手共に)
- この議論が最も厳しい。
- 何故なら、「売り手」、「買い手」共にとあるように、分析の結果を受け入れることがそもそも難しい。
- 仮に、受け入れたとしても、従来の慣行を理由に(変えたくないというのが唯一の理由だが)抵抗する。
- 例えば、卸の随時配送をやめる代わりに(随時配送に係る業務が売り手、買い手ともに無意味な業務であると分析した場合)、月数回の定時配送に改め、マージンを下げる、という議論。
- この議論は、かなりの人がチャレンジして敗れ去ったもの。
- 古くは、大手商社が医療分野に進出したときに、この真っ当な議論が通らず、絶望したこと。近時では、合理的調剤チェーンの申し出にも関わらず、卸側が拒否したこと。
- こうした事例をみると、「無駄なこともやりますから、マージンをください。」という途方もない論理(?)がまかり通っているのではないかとすら思う。
- MRの場合。
- MRの訪問は不要、従って、これに係る間接費は低減できる。従って「値引きせよ」というcontextが成立する。
上記のような議論をするたびに思うことがある。
- 1.こうした間接費は、そもそも費用と認識されていない。
- 2.費用的認識があるとしても、当然の「サービス」と受け止められている。
- 3.最も怖いのは、「タダ」、「特権」という認識。
随時配送にしろ、MR訪問にしろ、大きな費用がかけられている。
この費用は、この国では、公的保険の支出内容だ。
ということは、こうした費用がカットできれば、保険料が引き下げられる。
あるいは、カットした費用で浮いた部分を関係者の技術料として新たに配分できる。
タダ、特権などと思い込むから、薬剤師の給料は安いのだ、と喝破した方がいた。
そうなのです。
余計な費用を削れば、医療関係者の給料は上がるという単純な構造に気づいてほしい。
ぼやきはこの辺りで。