ジェネリック医薬品の価格 10
ジェネリックの適正な薬価という点について、ホスピーラ社の社長の議論をご紹介しよう。
資料は、三津原氏のプレゼンテーションと同様、2009年6月28日日本ジェネリック医薬品学会の際のもの。
まずはおさらい。
- 1.新薬は類似薬効方式が基本。
- 2.後発品は初回収載品目は先発品の70%。その後は最低薬価品目を参照。
- 3.日薬連が特許期間中または再審査期間中の新薬の薬価維持制度を提案。
類似薬効方式。
業界の人は聞きなれた言葉。
業界の外の人にとっては、なんのことやらわからないもの。
定義は、
- (1)効能効果というカテゴリーの中で
- (2)化学構造
- (3)主要な薬理作用
などが類似している既に販売されている医薬品を比較対照基準として、一日の使用量分の価格がそれと同一になるように算定するという方式。
漫然とこれを見ると、似たような医薬品を開発しても新薬として取扱いますよ、と読める。
日本の新薬メーカーのうちかなりの会社が「漫然と読んで」いるのではないかと疑いたくなる。
特に、抗菌剤に関しては、類似新薬が細菌の耐性を高めたのではないかという指摘が多くなされている。
いずれにしても、類似薬効方式では、場合によると、イワンの馬鹿的な現象が起きてしまう。
そのため、いくつかの加算(「補正加算」)の仕組みがある。
その3つとは、画期性加算、有用性加算、市場性加算。
役所の世界では、「ピカ新」という言葉が用いられる。
それとの対比は、ゾロ新。
第3コーナーから入り新薬特許を獲得するというスタイルがこれに該当する。
(そろそろ、ゾロ新というカテゴリーに属するものは認められないといったことはできないのだろうか。先発品メーカーは、「新薬の開発意欲」などと声高に合唱される。確かに、それは必要。だが、第3コーナー開発などというのは意欲といっても、会社の収益上のインセンティヴにすぎない。医薬品の保険償還の仲間に入っていただく必要はないのではないか。)