ジェネリック_Column_Pharmacoeconomics | 医薬品流通経済研究

医薬品流通経済研究

TOP I about us I contact I
印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |



All Rights Reserved,Copyright(c) 2009 Hiromichi Sumida

HOME > Columnジェネリック > Column_ジェネリック04

ジェネリック編 04

ジェネリックはパテント切れ後の医薬品

医薬品の世界でも、画期的新製品は、爆発的に売れる。
しかも、特許で保護されるため、他の企業は、参入できない。
特許期間中は、市場を独占し、価格も維持できる。
莫大な利益が出る。
単純に言えば、儲けすぎ。

何故、儲けすぎてもよいのか。
一つは、新薬開発のための膨大なコストを償う必要があるから。
医薬品の開発は、次のような段取りが必要だ。
まず、新規物質を見つけ出す。
この作業自体、大変な労力が必要。

近年までの医薬品は、主として化学合成の結果得られるものが中心だった。
原子、分子の順列組み合わせということになる。
コンピューター時代の今日、限られた数(毎年新たな原子が発見されることはない)の原子、分子の順列組み合わせを行い、この組み合わせの中から、物質として成立するものを選び出す。
その上で、物質の性質を調べ、「薬効」があるとみられるものを選別する。
初期の物質特性試験を経て、動物に投与し、効果、副作用、毒性などを試す。
こうした結果を慎重に見定め、ようやく、人間でテストする。

人間でテストすることは、お考えになれば、大変なことであることに気付かれると思う。
まず、動物ではよくても、人体にはネガティヴな物質もある。
次に、医薬品である以上、対象疾病が前提だ。

医薬品は、通常の商品と同様、マーケットを睨んで開発される。
例えば、糖尿病は、予備軍を入れると、1000万人が医薬品を使う可能性がある。
逆にいうと、オーファン(orphan)ドラッグといわれるように、稀な疾病は医薬品の開発対象となりにくい。
役所がこうした疾病群に対し、補助金を出すのは、市場原理のみでは対象とならないことについての公的な役割を果たしているということになる。

疾病といっても、糖尿病のような大量の患者を確保できるものは、人への臨床試験はやり易い。

通常、簡単には患者さんを見つけ、臨床試験の同意をえることはなかなか難しいこととなる。なにしろ、通例、1000例が必要なのですから。
患者さんは、お医者さんが「発見」し、治療効果についても医師が判断する。
当事者として、患者、医師、入院治療の場合には病院機能全体が必要となる。
こうした開発手順を細かく追えば、薬の開発には途方もないコストがかかることが理解できよう。

こうした手順はフェーズ(段階)テストであり、薬事法制の中で、細かく定められ、どの段階にあるかは、公表されることとなっている。
開発初期から、医薬品の承認まで、10年はかかる、気の遠くなるような作業だ。
この10年程度の過程をパイプラインと呼び、○○社のパイプラインには、開発段階にある医薬品がいくつあるかが問題となる。

仮に、パイプラインの中に一つもない、ということになると、新薬開発企業としては、厳しい局面にあることとなる。
新薬として承認となっても、次には、工業化の過程がある。
原末と呼ばれる原料を調達しなければならない。

ページの先頭へ