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ジェネリック編 10

非関税障壁

で、先発品と後発品(ジェネリック)の価格を並べてみる。

1978年 後発品≒先発品
1981年 既存品の最安値≒後発品 or 先発品の 0.9 掛け=後発品
1994年 先発品の0.9掛け=後発品
1996年 先発品の0.8掛け=後発品
1996年 先発品の0.7掛け=後発品

70%という価格、どう思います。
特許切れ後なんだから、当然。
でも、もっと安くてもいいんじゃない。

ある外国のジェネリックメーカーは、日本進出の際、50%でどうだと役所に打診した。
役所側は、日本のルールなので、70%に従ってほしいと返答。
あるいは、ジェネリックメーカーの日本進出で、日本人社員が返答に困る質問。
「わが社のジェネリックは世界的にも抜群の価格競争力がある。何故売れない?」
外資メーカーの日本人社員は、日本的価格構造にドップリ浸っていればいるほど、こうした質問には答えられない。
例えば、質問者が病院への納入が競争入札を経て行われていると思い込んでいるとすれば、議論は相当なネジレの位置にあるといえる。

少し議論を省略するが、70%という価格は、結果として日本のジェネリック企業を守っている。
コスト高の日本のジェネリック企業は、70%ラインからのディスカウントビジネスを始め、原価割れまで生産を続ける。
原価が割れれば、撤退する。
原価水準が低い外国のジェネリック企業とでは競争にならない。
落語のオチの解説のようで、煩わしいかとも思いますが。
外資の有力なジェネリックメーカーは、世界のマーケットで量産効果の出る規模で生産し、日本で売り出すのなら、50%が出発点でも利益が出る。
その上、日本のメーカーの採算ラインの遥か下でも、利益が出る。
日本企業の値下げ合戦の果て、After Patent の世界で外資の製品が唯一の医薬品になれば、最早値下がりはない。
採算ラインを守りながら、悠々と、企業活動を続ける。
どうです、いいシナリオでしょ。

外国ジェネリックの日本進出での問題は、現在の70%ルールという入り口が結果として非関税障壁になっていることだ。

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