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ジェネリック編 11

ゾロ新

ゾロ新の価格。
恐ろしいことに(勝手に怖がっていますが)、ゾロ新の価格は、1995年まで、ピカ新と殆ど同じだった。

ピカ新とは、新規性、オリジナリティの高い新薬のこと。
英語圏では、block-buster。
画期的新薬。
ブロックバスターとは、街の一区切りであるワンブロックを吹き飛ばすほどの大型爆弾が元々の意味。
適切な医薬品のない疾病について、あまり薬効のないものが市場に出ている場合、ブロックバスターが出ると、文字通り、旧来品はぶっ飛ばされてしまう。
こうした画期的な新薬とモノマネ薬が同様の値段であるというのは、如何にもおかしい。

よく言われる、毎年薬価改定が行われ、薬の値段が一斉に引き下げられたにもかかわらず、医薬品費全体として、下がらないのかという疑問。
この疑問自体、わからんと思われるかもしれない。
具体的にいうと、1981年薬価は、18.6%引き下げられた、以後2年毎に、引き下げが行われ(1989年の2.4%がプラス改定)、単純累計すると、これまで100%を超える改定が行われている。
勿論、乗数であり、0.95の10数乗はいくらかというのがより正確な設問。
マイナス改定の連続であるにも拘らず、医薬品の売り上げが半分以下になってはいない。
このマジックの一つの答えは、ゾロ新であるといわれている。
簡単に言えば、最初の薬が引き下げられれば、似たような ME-TOO 薬を追加することによって、引き下げ分を取り戻すということ。

1995年、ゾロ新についての算定基準が変わった。
「新規性に乏しい新医薬品については、類似したい薬品の価格の平均を超えない水準」というもの。
「類似新薬≧ゾロ新」という数式。新薬と称して、各メーカーが似たり寄ったりの抗生物質を市場に出し、これが大量使用されることによって、細菌の耐性を高めてしまったという指摘もある。

医療上の問題としても、me-too は、ネガティブな影響を与えたのではないかといえる。
こうしたゾロ新は、ジェネリックの普及の上で、決定的なネックになった。
ゾロにしろ、ゾロ新にしろ、ピカ新と似たような価格であったということが、医薬品の経済的効率性からみると、阻害要因であったといってよい。

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