2010/02/17
博白 10
5分間エッセイの課題。
1)薬科大学を選んだ理由を述べよ。
2)自身の卒業後の進路について述べよ。薬剤師としてキャリアを考えるのであればどのような薬剤師になりたいか述べよ。
この課題は、某1部上場企業の方(客員教授をお願いしている)の素朴な疑問として設定した。
今度こそ予習して「良」をもらおうとした学生さんには肩透かしとなった。
この課題は、自己を語るもの。
当然だが、「正解」はない。
どちらかといえば、日ごろの思考、表現力を評価するという意味合い。
別の角度からみると、アンケート調査的にもとらえることができる。
一般的傾向からいうと、身近に病気の親族、知人がいたから、というのが薬科大学を選んだ「公式」説明。
これだけ多くの学生が同様の説明をすることには奇異な感じを持たざるを得ない。
ヒネタ高齢初期人としては、「おまえら、ホントのことをいえ」といいたくなる。
20歳を過ぎた学生諸君とノミニケーションをすると、学生たち自らが薬科大学を選んだ赤裸々な説明をしてくれる。
曰く、「医学部にいきたいけど、偏差値が足らなかった。」
(ハハーン、それで医者コンプレックスが醸成されるのね。)
曰く、「薬剤師は食いはぐれがないという印象があった。」
(若者は、確かに、印象論で決めますな。小職もその例外ではなかったような気がする。)
次に、薬科大学卒業後の公式答弁は、6年制を反映して、医療現場で働きたいとするものが大半。
これについては、教育の端っこを担わせていただいている小職としても責任を感じざるをえない。
ただ、ひと夏を大学病院の薬剤師さんたちと議論を重ねた経験からいうと、学生研修、その後の受け入れを含め、オトナ、社会の側にこうした臨床を志す学生たちをキチンと受け止められるかという基本的な問題を考えてしまう。
良を差し上げたエッセイを紹介する。
選定基準は、「志」と「正直さ」。
- 1)薬がどう効くかに興味があったし、有機化学も好きだったので、薬学部に興味をもった。また、祖母が病気のとき、どの薬が効くか分からず、色々な薬を試していて、その種類や量によって、体調も左右されていたのもみて、薬に興味をもったから。
- 2)進路はまだあまり決めていない。薬剤師といっても、病院や薬局の薬剤師があるし、企業に就職というのもあるし、他にもたくさんの進路がある。特にこういう道に進みたいとか、これは嫌だと思うものはあまりないので、今後ある進路についての説明会や相談会、長期の実習などを通して、ゆっくり考えていこうと思っている。また、薬学部で学んだことを行かせる他の進路はどういうものがあるのかを、自分でもしらべてみたりして、今後の進路を考える参考にしたいと思う。
90人近くの中で、良を差し上げたのは2人。
そのうちの一人のエッセイが上記です。
どう思われます。
かなりの方が「これが良い方だと他のものはかなりレベルが低いor類型的」と思われるでしょう。
ビンゴ!
そうなのです。
最近の学生さんの特徴として、他人を違った考え方、行動をとることはよくないことだという思い込みがあるように感じます。
ある人にいわせれば、「それがゆとり教育というものです。」
徒競走で手をつないでゴールし、順位をつけないことがいいことだという中で育つと、こういうことになるという指摘もあります。
ただ、社会の側は、特異性、自己主張を重視する。
このギャップは、当然のことながら、ここしばらく、社会的な摩擦の原因となるとおもわれます。