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2010/02/18

博白 11

(学生気質まできたところで、この関係は一端休止します。)

近ごろ、血友病医療に関係させていただいている。

このことについては、別途、研究そのものとしてまとめなければならない。
ここでは、備忘録の意味も含め、雑感を記しておきたい。

そもそも、何故、血友病なのか。

筆者は、旧厚生省の役人あがり。
血友病は、役所として痛切な思いがある。
その役所の一員として、筆者は、血友病の重い歴史については、頭を垂れ、真摯に反省をする必要があると思う。

今回の関わりの入り口は、直接には、上記ではない。

大学病院の薬剤部へのヒアリング調査の過程で、医薬品のアイテム数確認がその発端だ。

問:貴病院の医薬品アイテム数?

答:数年前まで3000。現在、1800。1500以内を目指して奮闘中。
  オーファンは勘定に入れてません。

オーファン医薬品については、いずれの病院も上記と同趣旨の回答。

で、さらに、オーファンの典型的な例とはと尋ねると、「例えば、血友病製剤」というお答え。

オーファンドラッグ。

日本の薬事法上では、「希少疾病用医薬品」として定義されている。
法律の文言をそのまま書くと、
―――その用途に係る対象者の数が本邦において厚生労働省令で定める人数に達しないこと。
   この省令で定める数が5万人。
日本では、患者数が5万人未満の疾病を対象とする医薬品を希少医薬品(オーファンドラッグ)という。

ちなみに、アメリカでは、アメリカ国内で対象が20万人以下の医薬品がオーファンドラッグとされる(オーファンドラッグ法、1983年)。

こうした法規制上の定義は、当該医薬品の開発に関し、補助金や税制の優遇措置を与えるためのもの。

余計なことをいえば、アメリカと日本では、人口比が2対1。
仮に、アメリカが「正しい」とすれば、日本の場合、10万人が物差しとなってもよい。

もともと、患者数が少なければ、医薬品企業が開発のインセンティヴが乏しいであろう前提に立つ。

以上は、開発側からみたオーファンドラッグ。
病院側からみると、滅多にでない医薬品がそれにあたる。
当然だが、そういう意味でのオーファンドラッグの定義はない。

病院現場でのオーファンとは、難病、特定疾患のための医薬品がほぼこれに該当する。
厚生労働省の難治性疾患克服研究事業を物差にする。
いわゆる研究事業(臨床調査)が、130疾患。
医療費の自己負担軽減事業(治療研究事業)が、56疾患。

こうした疾病を対象とする医薬品が病院現場でのオーファン的なものといえる。

もう一つ、オーファンではないが、日本で数人の医者しか使っていないものも、製薬企業的にみれば、オーファン的なニュアンスがある。
日本の医療保険制度では、一人でも当該医薬品を使用する医師がいれば、製薬企業は供給しなければならない。
いろんな意味で製薬企業にとっては迷惑な話。

血友病は、患者数5000人。
希少医薬品の定義に該当する。
さらに、病院現場でのオーファンにあたる。

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