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2010/02/22

博白 12

病院現場では、オーファン医薬品は、きつい言葉でいえば、継子扱いを受けている。

なぜか。

予算主義の旧国立大学では、収入、支出を別々に議論する。
これは、別の言葉でいうと、BSとPLの区別がわからないまま、部分のみを問題にするということ。

血友病の場合、医薬品の購入、支出面が問題。
血友病の医薬品の値段、ご存知だろうか?

例えば、ノボセブン。
活性型血液凝固第Ⅶ因子製剤。
ノボルディスクファーマ社の医薬品。
筆者の文学的な理解では問題が生じるおそれもある。
この会社の説明を借りると、次のような医薬品。

  • 活性型第Ⅶ因子製剤のノボセブンは、遺伝子組替技術を利用して作られた薬で、インヒビターを持つ患者さんの止血に使われる。
  • 第Ⅷ因子、第Ⅸ因子が入っていない。
  • 例えば、体重24kgの患者さんの場合、24×0.15=3.5となり、3.6mLノボセブンの注射をします。

血友病の医薬品は、近時、かなりの進歩をとげている。
上記のような医薬品ができて、血友病の患者さんは、自己注射で対応が可能で、通常人と変わらぬ活動ができるようになった。

この医薬品の価格。
4.8mg8.5mL 1瓶 : 302,035円

この分量が1回当たりの薬剤費。
血友病患者さんが、出血した場合、2~3回注射する必要がある。
ということは、1出血でほぼ100万円の費用。

旧大学病院での予算会議では、症例数が少なく、診療収入が少ないのに、その疾病関連の医薬品のために、高額な支出を要することについて、抵抗感が強い。

ほとんどの担当医の方が、医療上の疎明が不必要であるにもかかわらず、高価であるが故に、毎年、購入願いといったものを大学当局に出さねばならないとお嘆きになる。

ついでに、最近の高機能病院の医薬品のアイテム数管理は、1増1減主義。
血友病の分野のように、高価ではあるが、画期的な新薬が開発されるような場合、単純に1品目増やすことはそんなに簡単なことではない。

野放図なアイテム数管理の時代と比べると、隔世の感がある。
だが、医療上当然といった分野にも、画一的にこうした「管理」が及ぶ。

以上は、現場サイドの議論。

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