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2010/03/11

博白 19

日本の状況は、医療資源の分散使用という状況。
これまで関わっていただいた医療機関には心の底から感謝申し上げる。

今後のことを考えると、日本でも治療のコアに医療資源を集中していくことが必要だと思う。

血栓止血学会の血友病部会では、これから、この問題に本格的に取り組むとされる。
現在は、検討の初期段階であり、詳細はまだ見えないが、各当事者にとって、win-winの状態となるよう、検討が尽くされると期待される。

で、少し、話を飛ばすことをお許し願いたい。

お医者さんの学会というのは、傍でみるよりも、複雑で、当事者にとっても取扱いが厄介なもの。
生意気な役人の頃は、その機微がわからず、かなり見当違いなことを言い散らしてきたような気がする。

血友病が血栓止血学会に属し、血友病部会という組織になるのは、一見、極めて自然な流れではないかと感じる方が多いのではないかと思う。

では、現在の血友病部会のお医者さんの「出身」は、どこか。

遺伝病であり、幼児期からの対応を要することから、小児科。

血液の凝固に関連するから、輸血関連。

血友病は、関節への負担と切り離せないから、整形。

といったことになる。

医療、医学会といった事情に詳しい方であれば、組織論としての血友病学会は難しいということにお気づきいただけると思う。

例えば、患者数500万人という糖尿病は、その数だけで、1学会が成立し、後継者も育てやすい(もっとも、糖尿病治療の初期段階では、かなり不人気な医療部門であったと聞いている。)
現在では、血糖値の上昇に伴う血管壁の障害といった観点から、「純粋」糖尿病というカテゴリーが徐々に変貌しつつある。

血友病の場合、患者数というスケールだけでも、上記の学会のようにはいかないであろうことは容易にお分かりいただけよう。

これに加えて、「出身」がバラバラであることは、後継者をどうするかといった視点でみると、将来にかなりの困難を感じる。

こうした簡単な整理だけでモノをいうのは短兵急かもしれないが、なけなしの医療資源の集中化と結節点作りをやっていかないと、患者さんにとって厳しい状況になってしまうのではないかと思う。

お医者さんにだけ、志の高さを求めるのは酷で、若い研修医さんにとっても、将来展望のある仕組み作りが必要だと思う。
(志だけで、血友病の世界を選ぶというのは最近の診療科選びのトレンドからは想像しにくい。)

適切な時期、こうした議論の一応のとりまとめをご紹介したい。

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