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2010/03/18

博白 20

今回は、客学番外編。

裏メニュー。

そもそも、裏メニューというものの存在理由がわからなかった。

最近、東大近くのラーメン屋に通っている。
某氏から、ご紹介を受け、初期はそれほどでもなかったにもかかわらず、知らず知らずのうちに足が向いている。

で、お店のオーナー(などという大袈裟なものではないとご本人はおっしゃるに違いないが)から、お賽銭を落としてくれる結構な客とご認知をいただいた。

ご紹介をいただいた某氏の注文の品をお願いする。
その時の会話。
「マーボ豆腐でない暖かい豆腐料理がありましたよね。」
「ええ、ありますよ。」
「お願いします。」
(この調子では、シナリオライターには100年経ってもなれませんな。)
「これって、メニューにないですよね。」
「はい、ありません。裏メニューとして用意しているものは、是非、メニューに載せてくれと頼まれます。そういうことで、メニュー入りしたものもあります。
でも、うちが裏で用意しているものをメニューに載せちゃったら、裏メニューがなくなってしまいます。」
(瞬間、筆者としては、それでよいのではないかと秘かに思う。)
「常連さんがお見えになったときに出す裏メニューがなくなると、店にとって不便になるんです。」

ということは、店の側としては、大事なお客さんだというカテゴリーを設けているから、メニューにのせないというカテゴリーを設けている、ということ。

もう一つ言えば、裏メニューの存在理由も知らずに59年の客人生を送ってきた自分はいかにも無粋であるということ。

さらにいうと、マスコミに対し裏メニューを紹介する店というのは一体なんなんだろうということ。

ともあれ、裏メニューという粋なサインがあるのであれば、それを大切にするのが客学。

食べ物屋さんもお客さんをみている。
(ま、回る寿司のようなところは難しいでしょうが。)

中南米のエコツアー(自然林をみるのが何故エコなのか良く分かりませんが)で、ガイドさんがいう。
「あなた方は、自然を見に来られました。
見る側だという意識は結構ですが、自然の方もあなた方を見ているということをお忘れないように。」

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