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2010/04/03

博白 21

このコラムの読者のお一人から、「エッセイにみる学生気質」はおもしろかったというお言葉をいただいた。

筆者もおだてりゃ木に登るタイプ。

学生さんのエッセイ紹介を少し続けます。

お題は院外調剤。

「なぜ院外調剤が増えているのか理由を述べよ。
 ・院外調剤・・・処方箋を病院の外の薬局へ持ち込み、薬を受け取ること
 ・院内調剤・・・病院内で薬を受け取ること
以前は多くの病院が病院内の薬局で薬を出していました。ここ何年かで病院の外で薬を受け取るようになりました。こうした薬の受け取りの変化は何故起きたかと思いますか。」

この講義の対象となる学生さんは1年生が多い。
院外調剤という言葉さえ知らないと考えられる。
門前薬局などといったことになると何のことか分からないといった状態。

正解は求めていない。
その日の講義は、日本調剤の三津原氏。
「院外調剤は診療報酬の利益誘導で始まった。」と喝破された。
もとより、このような正確な論議がなされることは期待できない。

それでも、学生さん4人に「良」を差し上げました。


それぞれのツボをご紹介します。

その1)
「院内調剤よりも院外調剤の方が点をたくさんもらえ、医療ほうしゅうが多くなる。」とした上で、筆者の心をくすぐったのは、「院外調剤は医薬分業を進めるために重要なものであり、医療ほうしゅうが増える、増えないの問題の前に行われるべきものである。」
この文章には、漢字が書けないという欠点はある。
独断偏見のきらいもあるが、「銭金ではなく、本来やるべきことをやったらどうだ。」というものの言い方がよろしい。

その2)
「早期体験で訪れた、順天堂大学病院は、院内調剤でした。――――院内調剤をしている病院は、今時珍しいーーーー外来の患者さんを、あまり待たせることなく、正確に調剤することはとても難しい。」
これの何がよろしいのか。
シャーロック・ホームズではないが、「見る」ということと「観察」することは別だよワトソン君というわけ。
少なくとも、この学生さんは「院内調剤」という言葉と事実を重ね合わせてみることはできる。
よろしい。

その3)
「院外調剤にすることで、入院している患者さんたちのための調剤や健康管理などにより一層力をいれられるから。」
ここまで真正面で書かれると、どこぞが痒くなってしまいます。
でも模範解答、優等生というタイプでもない。
この学生さんは、かなりよい確率で「良」を獲得した。
入社試験の今や基本だが、彼女は、論旨が通っていることと、質問に真正面から向き合うこと、理解の不足している場合は自らの知っている範囲で応えるといったことができる。
学生馬鹿でなく、社会的な関わりの感覚が鋭いのもよい。

最後のは、そうであったらいいな、ということを書いてくれた。

その4)
「最近では、医師不足という状況が深刻化し医療業務において、やはり医師が足りないというのが現状です。そこで、薬剤業務を院外にし、薬に関することは全て薬剤師に任せるというかたちになってのではないかと考えます。」
やぶれかぶれのエッセイですが、5分間のよい足掻きという意味で努力賞的「良」を差し上げました。
それにしても「薬に関することは全て薬剤師に任せる」などと見果てぬ夢をすらすらと書いてしまうなど夢があるのか、現実を知らなさ過ぎるのか。

次回は、珍答集。

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