流通再編 07
接待漬け
極端にいって、皆保険が始まったばかりの頃は、卸にとっても、医師にとっても、薬は使いたいだけ使えば、膨大な利益が出、これを山分けする時代だった。
卸業の古い方に昔話を伺うと、料理店からクラブまで、高級店ならなんでも知っていたといわれる。
景気の悪い時期でも医薬品業界だけは、万年好景気といわれ、ノー天気の代表のような位置づけであったらしい。
医薬品メーカーも、不景気の中で、利益率ダントツということでは、格好がつかないので、なんとか目立たないように、といった具合。
冗談だろうと思われるかもしれないが、「添付」というものがあり、薬を1箱買うと、オマケといって5箱ついてくるという商法ともいえないものが蔓延した。
このほか、今から見ると、ホントかよといったものもある。
医薬品メーカーの販売代理店として、やりたい放題だった。
役所(当時、厚生省)からも、いい加減にしろ(とは勿論書いてないが)という趣旨の通達が出たくらいだ。
この通達をみると、いろんな言葉が並んでおり、お時間のある向きは、この解釈を試みられたら。
今の4大卸グループの経営企画といったセクションの方々にお話を伺うと、この頃の「味」を忘れられず、これこそがビジネスモデルと思い込み、昔に回帰したいという連中が問題だということになるらしい。
人間、ラクなこと、楽しいこと、特に贅沢を覚えると忘れられないという。
これも、黒船の襲来で、終焉を迎えた。